# マイクロビット (micro:bit) v2 エッジコネクター(Edge connector)の基本
本ドキュメントは、初めてmicro:bitのエッジコネクターを利用する際に必要な機材や事前準備、動作イメージを端末の画面上で確認できるシミュレーター、プログラムサンプル等を記載しています。また、中上級者向けの製品詳細仕様情報も確認できます。
# 1. 本ドキュメントの目的
- micro:bit(マイクロビット)のエッジコネクターの仕様の把握
- micro:bit(マイクロビット)のエッジコネクターに関するプログラミング方法の基本の把握
# 2. 製品の詳細仕様
# micro:bitのエッジコネクターの詳細仕様
micro:bit(マイクロビット)は、エッジコネクターに外部接続用ピン(25個)があり、以下の機能が備えられています。
「0」、「1」、「2」、「3V」、「GND」はワニ口クリップ等で利用できるよう、大きくスペースをとられていますが、
その他のピン(3〜16, 19〜20)(17,18は利用できません)は小さく、直接ケーブル等につなげるのではなく、
サードパーティ製エッジコネクターソケットを備えている基板(ピッチ変換基板や拡張基板等)の利用が必要です。
- 汎用入出力(GPIO)
- アナログ・デジタルコンバータ(ANALOG)
- 非同期シリアル通信(UART)
- 同期シリアル通信(SPI、I2C)
- パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)
- タッチセンシング
- NFC
- 電源供給
参考情報
GPIO : General-Purpose Input/Output
GPIOは、デジタル信号が利用できて、ユーザ側で制御の制御により、入力でも出力でも使用できる汎用ピンです。UART : Universal Asynchronous Receiver/Transmitter
micro:bitのUARTは、シリアル接続を行うための機能です。 非同期シリアル通信です。 送信用と受信用のピンを割り当てることで、外部デバイスとシリアル接続ができます。SPI : Serial Peripheral Interface
外部ディスプレイなどの追加ハードウェアを接続する時に利用します。 同期シリアル通信です。 P13(SCK)、P14(MISO)、P15(MOSI)がSPI対象のピンです。I2C : Inter-Integrated Circuit
マイクロプロセッサーやマイクロコントローラが搭載されているようなデバイスと通信したい場合利用します。 同期シリアル通信です。 複数のデバイス(複数のmicro:bit本体でも可能)を一つの回路で接続ができます。 P19(SCL)、P20(SDA)がI2Cの対象ピンです。PWM : Pulse Width Modulation
パルス幅変調と呼ばれており、半導体を使った電力を制御する方式の1つです。 オンとオフの繰り返しスイッチングを行い、出力される電力を制御します。 micro:bitは、電圧の変調によるアナログ信号の出力ができません。 LEDの明るさやモーターの速度を制御する際、電力オン/オフの時間調整によって実現します。
# エッジコネクターの詳細仕様一覧図
micro:bit(マイクロビット)現行v2と以前のv1.5両バージョンの仕様は以下です。
汎用入力/出力ピン(General Purpose Input/Output Pins)
項目 | v2 | v1.5 |
---|---|---|
リング(エッジの穴) | 3つのI/O用リングと2つの電源リングがあり、4mmプラグとワニ口クリップに適合しています | 3つのI/O用リングと2つの電源リングがあり、4mmプラグとワニ口クリップに適合しています |
GPIO機能 | GPIOとして割り当て可能なピン ✖️ 19 | GPIOとして割り当て可能なピン ✖️ 19 |
外部I2C専用インターフェース用 ✖️ 2 | 外部I2C専用インターフェース用 ✖️ 2 | |
LEDディスプレイと環境光センサー用 ✖️ 6 | LEDディスプレイと環境光センサー用 ✖️ 6 | |
ボタンA/B検出用 ✖️ 2 | ボタンA/B検出用 ✖️ 2 | |
アクセシビリティのために予約されたピン ✖️ 1 | アクセシビリティのために予約されたピン ✖️ 1 | |
デジタル入力・出力用として割り当て可能なピン ✖️ 19 | デジタル入力・出力用として割り当て可能なピン ✖️ 19 | |
PWMとして割り当て可能なピン ✖️ 19 最大3つ同時利用可能 | PWMとして割り当て可能なピン ✖️ 19 最大3つ同時利用可能 | |
1つをシリアル送信、1つをシリアル受信として割り当て可能なピン ✖️ 19 | 1つをシリアル送信、1つをシリアル受信として割り当て可能なピン ✖️ 19 | |
アナログ入力ピンとして割り当て可能なピン ✖️ 6 | アナログ入力ピンとして割り当て可能なピン ✖️ 6 | |
オプションのSPI通信インターフェースに割り当て可能なピン ✖️ 3 | オプションのSPI通信インターフェースに割り当て可能なピン ✖️ 3 | |
タッチ検知できるピン ✖️ 3 最大3つ同時利用可能 | タッチ検知できるピン ✖️ 3 最大3つ同時利用可能 | |
ADC分解能 | 10 bit (0〜1023) | 10 bit (0〜1023) |
エッジコネクター | エッジコネクターあり | エッジコネクターあり |
ピッチ | 1.27mm, 80 way double sided. | 1.27mm, 80 way double sided. |
パッド | 4mm穴(リング)付きパッド ✖️ 5 | 4mm穴(リング)付きパッド ✖️ 5 |
電源(Power supply)
項目 | v2 | v1.5 |
---|---|---|
電源電圧範囲 | 1.8V〜3.6V | 1.8V〜3.6V |
動作電流 (USBと電池バッテリー) | 最大300mA | |
USB電流 | 最大120mA | |
電池バッテリー電流 | TBC | |
オンボード周辺機器 | 90mA | 30mA |
電池バッテリーコネクター | JST X2B-PH-SM4-TB | JST X2B-PH-SM4-TB |
エッジコネクターを介して提供される最大電流 | 190mA | 90mA |
# エッジコネクターの大きいピン
「0」、「1」、「2」、「3V」、「GND」はワニ口クリップ等で、外部のデバイス(外部センサー等)と接続する時によく使います。
ピン | 用途 | 詳細 |
---|---|---|
0 | 汎用入出力ピン(GPIO) | アナログ(ANALOG)デバイスの接続も可能、ADコンバーター機能付き |
1 | 汎用入出力ピン(GPIO) | アナログ(ANALOG)デバイスの接続も可能、ADコンバーター機能付き |
2 | 汎用入出力ピン(GPIO) | アナログ(ANALOG)デバイスの接続も可能、ADコンバーター機能付き |
3V | 3V電気を供給する | + 極の電源ピン |
GND | グランド | − 極のピン |
注意事項
- デバイスを取り付ける場合、通電していない状況(電池ボックスの電源がOFF、または、USBケーブル接続していない)で取付をしてください。
- 通電する前に、配線が正しいかを改めて確認する習慣をつけるようにしましょう。
- ピンに接続しているデバイスを取り外す場合、必ず電池ボックスの電源をOFFにしてから(もしくは、USBケーブルを抜いてから)行ってください。
- 横ズレしないように、ワニ口クリップを利用する際、micro:bitと垂直で、エッジ付近にある穴とエッジの窪みを挟む形で利用することをお勧めします。
- 3VのピンとGNDのピンは直接接続されると「ショート」となってしまいます。絶対にしないでください。
# エッジコネクターの小さなピン
大きピン以外は、20の小さなピン(3〜16、19〜20、3V2つ、GND2つ)(17,18は利用できません)があります。
小さなピンに直接ケーブル等につなげて利用するのではなく、
サードパーティ製エッジコネクター用ソケットを備えている基板(ピッチ変換基板や拡張基板等)に繋げて、
ほかのデバイスを接続することになります。
また、多くのサードパーティ製(micro:bit対応)ロボット等の製品も同じようにソケットを用意しているので、大きいなピンと小さなピンを活用して、
様々なセンサーやモーター等のパーツを制御します。
注意事項
- 小さなピンを利用するにあたって、大きいピンと異なる注意事項があります。
- 多くの小さなピンは、micro:bit本体のハードウェアと共有で利用されています。
- ピンに接続されているデバイスと本体機能が、同時に使うことができません。
- 同時に利用した場合、本体の機能が突然使えなくなることが起きます。
- 本体の該当機能を無効にすることで、通常の利用が可能になります。
# 3. 必要な機材
# PC利用時に必要な機材
No. | 名称 | 個数 | HW/SW | 用途 | 補足 |
---|---|---|---|---|---|
01 | micro:bit(v2)本体 | 1 | HW | プログラミング・操作用 | - |
02 | micro:bit用 ケース | 1 | HW | micro:bit保護 | - |
03 | micro:bit用 USBケーブル | 1 | HW | PCとの接続 | - |
04 | micro:bit用 電池ボックス | 1 | HW | micro:bitへの電源供給 | 単4型電池 ✖️2 タイプを想定 |
05 | 単4型乾電池 | 2 | HW | micro:bitへの電源供給 | - |
06 | Chromebook、MacOS、WindowsのPC | 1 | HW | MakeCode操作用 | - |
07 | Google Chrome | 1 | SW | MakeCodeアクセス用 | - |
08 | ワニ口クリップ | 4 | HW | 果物・グランド接続用 | - |
09 | りんご | 1 | - | タッチ用 | - |
10 | バナナ | 1 | - | タッチ用 | - |
11 | みかん | 1 | - | タッチ用 | - |
12 | USB変換アダプタ | 1 | HW | PC接続用 | PCのUSBポートがType-Cのみの場合、TypeC ⇄ TypeA変換アダプタが必要 |
# タブレット・スマートフォン利用時に必要な機材
No. | 名称 | 個数 | HW/SW | 用途 | 補足 |
---|---|---|---|---|---|
01 | micro:bit(v2)本体 | 1 | HW | プログラミング・操作用 | - |
02 | micro:bit用 ケース | 1 | HW | micro:bit保護 | - |
03 | micro:bit用 電池ボックス | 1 | HW | micro:bitへの電源供給 | 単4型電池 ✖️2 タイプを想定 |
04 | 単4型乾電池 | 2 | HW | micro:bitへの電源供給 | - |
05 | タブレット・スマートフォン | 1 | HW | micro:bitアプリ操作用 | - |
06 | micro:bit アプリ | 1 | SW | micro:bitアプリ操作用 | - |
08 | ワニ口クリップ | 4 | HW | 果物・グランド接続用 | - |
09 | りんご | 1 | - | タッチ用 | - |
10 | バナナ | 1 | - | タッチ用 | - |
11 | みかん | 1 | - | タッチ用 | - |
※ HW:ハードウェア、SW:ソフトウェア
※ Google Chromeは、Google社が提供しているブラウザ。ダウンロードはGoogle Chromeの公式ウェブページ (opens new window)で可能です。Chromebookでは、標準でインストールされています。
※ MakeCodeは、MicroSoft社が提供しているmicro:bitプログラミングできるオンラインソフトウェアです。詳細は「micro:bitのプログラミングで利用するソフトウェア」をご参照ください。
参考:micro:bitは、イフティニー ストアでお買い求めいただけます
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# 4. 概要と所用時間
実施項目 | 概要 | 所用時間 |
---|---|---|
事前準備 | 事前に必要な準備と確認 | 5分 |
プログラミング | 用意されている表示ブロックを使ってプログラミングし、micro:bitに動作させる | 10分 |
利用後 | プログラミング完了後の作業 | 3分 |
合計時間 | ー | 18分 |
# 5. 事前準備
注意事項
操作する前に「micro:bitの扱い方と注意事項」をご覧ください。
参考情報
初めてmicro:bitを利用する方は、事前に以下のドキュメントをご覧ください。
- Mac PCをご利用の方は、「micro:bitの利用方法(MacOS)」をご覧ください。
- Windows PCをご利用の方は、「micro:bitの利用方法(Windows)」をご覧ください。
- タブレット・スマートフォンをご利用の方は、「micro:bitの利用方法(iOS,Android)」をご覧ください。
micro:bit(マイクロビット)、電池ボックス、USBケーブルの準備
PCの場合、PCとブラウザを起動し、MakeCodeでプログラミングできる状態に準備
タブレット・スマートフォンの場合、アプリを起動し、プログラミングできる状態に準備
# 6. プログラミング
# 実現したいこと
りんご、バナナ、みかんを触ると、micro:bitからそれぞれ「ド」、「レ」、「ミ」の音が鳴ります。
- 電池ボックスで電源供給している場合、グランドのケーブルをタッチしながら、他の手で果物をタッチして音を鳴らします。
- りんごを触ると音の「ド」が鳴ります、また、LEDディスプレイに音符のイメージを表示します
- バナナを触ると音の「レ」が鳴ります、また、LEDディスプレイに音符のイメージを表示します
- みかんを触ると音の「ミ」が鳴ります、また、LEDディスプレイに音符のイメージを表示します
# プログラミングのサンプル
以下は、上記プログラミング実施結果のサンプルです。
※ 以下を利用して、直接ご使用のmicro:bitにダウンロード(書き込み)することもできます。
また、ご自分のMakecodeに保存することもできます。
# MakeCode ブロック
# MakeCode pythonコード
def on_pin_released_p0():
basic.show_leds("""
. . . . .
. . . . .
. # # # .
# # # # #
. # # # .
""")
music.play_tone(262, music.beat(BeatFraction.WHOLE))
input.on_pin_released(TouchPin.P0, on_pin_released_p0)
def on_pin_released_p1():
basic.show_leds("""
. . . . .
# # # # #
. # # # .
. # # # .
. . . . .
""")
music.play_tone(294, music.beat(BeatFraction.WHOLE))
input.on_pin_released(TouchPin.P1, on_pin_released_p1)
def on_pin_released_p2():
basic.show_leds("""
. # # # .
# # # # #
. # # # .
. . . . .
. . . . .
""")
music.play_tone(330, music.beat(BeatFraction.WHOLE))
input.on_pin_released(TouchPin.P2, on_pin_released_p2)
# 7. 利用後
# PCとmicro:bitの接続解除
PCをご利用の場合、この段階では、micro:bitは外部ストレージとして認識し、PCとmicro:bitが接続されたままの状態です。このままPCから取り外すとデータ破損等のリスクがあります。そのため、取り外す前に、接続を解除する必要があります。
OSごと、以下の手順にて、PCとmicro:bitの外部ストレージ接続の解除を行います。
Chromebookの場合:ファイルのマークをクリックした後、「MICROBIT」右の「停止マーク」をクリックし、PCとmicro:bitの接続を切断します。安全に接続解除ができたら、USBケーブルを取り外します。
Macの場合:Finderを起動した後、「場所」の「MICROBIT」右の「停止マーク」をクリックし、PCとmicro:bitの接続を切断します。安全に接続解除ができたら、USBケーブルを取り外します。
- スマートフォンとタブレットの接続はBluetoothで行うため、上記のような外部ストレージ接続の解除を行う必要がありません。
# その他作業
電池ボックスの電源スイッチがOFFになっていることを確認し、電池を取り出します。
micro:bit(マイクロビット)、電池ボックス、USBケーブルを収納バッグに収納します。
必要に応じて、ブラウザの終了(PCの場合)、アプリの終了(タブレット・スマートフォン)、や端末のシャットダウンを実施します。
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